フリーランスの確定申告その1 所得を自己申告する

『確定申告』とは

 毎年2月になると、フリーランスの方々を悩ませている『確定申告』。 サラリーマンと違ってフリーランス(個人事業主)の人は、自分で『確定申告』をして税金を納めなければいけません。特に、独立してフリーランスになって間もない方のなかには、「確定申告ってよくわかりません」とか「確定申告のやり方を知りたい」という人が多いのではないでしょうか?フリーランスになると、税法上では個人事業主、ひとりビジネスの経営者です。ですから『確定申告』をすべて、自分でやらなければなりません。
 収入に応じて支払う税金、これが所得税。『確定申告』とは、申告を行う前年の1月1日から12月31日までの1年間で得た所得(収入-経費)を計算して、税務署へ申告し、所得税を支払う手続きのことです。毎年、2月16日から3月15日の間に手続きを行います。
 売上から所得税を天引き(源泉徴収)されている方は、確定申告をすると、払い過ぎていた税金が戻ってきます。戻してもらう税金を還付金と言います。逆に、取引先が所得税を源泉徴収してない場合は。金額に応じて税金を支払うことになります。

 

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『確定申告』をしないと無申告加算税がかかる

もし確定申告をしなかった場合、無申告加算税が課せられます。

 

国税庁HPの抜粋より  No.2024 確定申告を忘れたとき

期限内に確定申告を忘れた場合でも、自分で気が付いたらできるだけ早く申告するようにしてください。この場合は、期限後申告として取り扱われます。また、期限後申告をしたり、所得金額の決定を受けたりすると、申告等によって納める税金のほかに無申告加算税が課されます。各年分の無申告加算税は、原則として、納付すべき税額に対して、50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の割合を乗じて計算した金額となります。

 

マイナンバー制度により取引先があなたのマイナンバーを紐付けして申告すれば、あなた収入が税務署に知らされています。 期限内に必ず確定申告をしましょう。

 

 

所得の計算方法は?

 

 フリーランスにとって、収入とは売上のことです。所得とは、売上から必要経費と青色申告特別控除などの金額を差し引いたものです。

· 収入…入ってくるお金の総額。フリーランスの事業であれば売上高のこと。

· 所得…入ってきたお金(収入)から必要経費を引いた金額

所得には、下記の表のように14種類の所得区分があります。
サラリーマンは給与所得。フリーランスは事業所得となります。

 

 『所得区分表』

 

  所得区分

  所得金額の計算方法

  1

  配当所得

  株式や出資の配当などがこれにあたります
   (収入金額)-(元本取得のための負債の利子)

  2

  不動産所得

  地代や家賃などがこれにあたります
   (総収入金額)-(必要経費)

  3

  事業所得

  個人事業から生じる所得がこれにあたります
   (総収入金額)-(必要経費)

  4

  給与所得

  サラリーマンの給料などがこれにあたります

  (収入金額)ー     給与所得控除額か、
         特定支出額の合計額の
         いずれか多い額

  5

  譲渡所得

   不動産及び株式等以外の資産の譲渡による所得
  (総収入金額)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)
    長期の譲渡所得(所有期間が5年超)は1/2が課税対象です

  6

  一時所得

  クイズの賞金など一時的な所得がこれにあたります

  (総収入金額)その収入を -(特別控除額)
            得るために
           支出した金額

 1/2が課税対象です

  7

  雑所得

   他の所得に当てはまらないもの 公的年金、アフィリエイトなど
   公的年金:(公的年金等の収入金額)-(公的年金等控除額
   その他 アフィリエイトなど(総収入金額)-(必要経費)

  8

  利子所得

  公社債、預貯金の利子などがこれにあたります
   (所得金額)=(収入金額)

  9

  山林所得

  山林の伐採や、売った時の所得がこれにあたります
   (総収入金額)-(必要経費)-(特別控除額)

 10

  退職所得    

 退職手当、一時恩給などがこれにあたります。
   {(収入金額)-(退職所得控除額)}×1/2

 11

土地建物の
 売却に係る
 譲渡所得

  土地や建物などを譲渡したときがこれにあたります。
   (総収入金額)-(取得費+譲渡費用)-(特別控除額)

 12

 株式等の
 譲渡所得

  株式・転換社債等を譲渡したときがこれにあたります。
   (総収入金額)-(取得原価+諸費用等)

 13

 先物取引
 等に係る
 雑所得

  商品先物取引及び有価証券等先物取引による事業所得、
  雑所得、譲渡所得で一定のもの。

 14

 上場株式
 等の配当
 所得

  上場株式等の配当等がこれにあたります。
   (収入金額)-(元本取得のための負債の利子)

 

事業所得(個人で事業をしている場合の所得)の計算式

年間売上-必要経費-控除額=事業所得

 

 この事業所得を計算するために、売上と経費を帳簿へ記録して、お金に出入りを管理しておくことが必要になります。年末で締めて、一年間の収支を計算することを決算と言います。「青色申告決算書」は、この報告フォームのことです。青色申告は、複式簿記で帳簿をつけて、この報告書(損益計算書・貸借対照表)を提出すると、65万円の特別控除が受けられる、と言う仕組みになっています。

所得の種類で所得金額の計算方法が違います

 所得の種類は、上記の『所得区分表』のように、14区分されています。前年の1年間に自分が得た収入は、どの所得になるのか確認しておきます。不明の場合は、取引会社に確認しましょう。
 青色申告は、事業所得を申告するするものです。それ以外に所得がある場合は、それぞれに所得を出し、それらを合計したものが1年間の総所得となります。  

 特に、独立開業した年の所得区分は、サラリーマン時代の給与所得があったり、退職金の退職所得があったり、年金が入った方は雑所得があったり、初めての事業で得た事業所得があったりと複雑です。
 でも、大丈夫です。一つひとつ整理して所得区分して、所得金額の計算をすれば、問題ありません。

 

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参考例として

ビクタ君(ノマーの後輩)の昨年の開業年を見てみましょう。

ビクタ君の場合の所得金額の計算は?
1. 会社員だったビクタ君は、
   昨年の3月に会社を退職しました。
2. 長年勤めてきたので退職金が少し出ました。
3. 就職活動をしながら、失業保険の基本手当を
   3か月間もらいました。
4. 7月に短期雇用促進で、3か月間の期限付きで、
   都庁がらみの仕事を正社員として就労しました。
5. 10月になり思い切って独立、「開業届出書」と
   「青色申告承認申請書」を地元の税務署に提出し、
   個人事業主になりました。

解説:
1. 3月までの収入=サラリーマンなので
   上図『所得区分表』の 4 給与所得
2. 退職金が入った=退職手当
   上図『所得区分表』10 退職所得
3. 失業保険をもらった=失業保険は非課税なので、
   所得税はかかりません
4. 正社員として就労=サラリーマンなので
   上図『所得区分表』の 4 給与所得
5. 個人事業主になりました=「開業届出書」提出したので
   上図『所得区分表』の 3 事業所得
   開業費用と10月以降の売上と経費を集計します

まとめ

確定申告の提出書類は、「青色申告決算書と「確定申告書」の2つです。
経理の帳簿は提出する必要はありません。

下図は、確定申告までの流れと手順のイメージ図です。

①売上を集計
②経費を算出
③利益を算出
青色申告特別控除
⑤事業所得が確定
⑥所得控除額を集計
⑦課税所得額が決定
⑧所得税を算出・・・・・課税所得×税率

ポイント
売上から引く「経費」と「所得控除額」が大きくなれば、課税される所得金額が小さくなります。

 

以上です。

最後までお読みくださりありがとうございました。 アンジュールのノマー

 

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