フリーランスが支払う税金は、所得税だけじゃない

はじめに


 フリーになると、所得に対してどんな税金がどのように課税されるのでしょうか?
フリーランスが前年度の所得に対して支払う税金は、所得税だけではありません。確定申告すると、そのデータを基に住民税・健康保険税・個人事業税(所得が290万円超えの場合)が計算されて、次々と納付書が送られてきます。確定申告をすると「還付金」として、税金が還付されるのは、当たり前のことですが、それ以上に、支払うべき税金がドット押し寄せます。
フリーになると、所得に対してどんな税金がどのように課税されるのか、基礎知識として理解しておきましょう。それを理解しておかないと、果たして利益が出ているのかどうかも分かりません。売上から経費を引いて、そこから支払うべき税金を除いて、どれだけ手元に残るか、それが問題です。それが、自分へ払える給料となるからです。

個人事業主が支払う税金にはどんな種類のものがあるでしょうか


それは以下の5つの税金です。
今回は 【 所得税 】 の説明をします。

  1. 所得税:1年間に生じた個人の所得にかかる税金

  2. 住民税:個人の所得に課税される、市区町村民税と都道府県民税

  3. 国民健康保険税:保険税 国民健康保険の掛け金として納める税金

  4. 個人事業税:事業を行う個人の所得に課税される税金

  5. 消費税:売上が1,000万円を超えると課税事業者となる

《個人事業主が支払う税金の一覧表》

税金

内容

申告手続

納付期限

所得税

1年間に生じた個人の所得にかかる税金

所得税の
確定申告

翌年の3月15日まで

住民税

個人の所得に課税される、
 市区町村民税と都道府県民税

必要なし

翌年に4回の分納

国民健康
保険税

保険税 国民健康保険の掛金として納める税金。
 所得金額に応じて支払う

必要なし

翌年に一括払い
もしくは
10回の分納

個人事業税

事業を行う個人の所得に課税される税金。
 290万円以下は非課税

必要なし

翌年に2回の分納

消費税

売上が1,000万円を超えると課税事業者となり、
 消費税を納付する

消費税の
確定申告

翌年の3月31日まで

 

確定申告で、税金が戻ってきても、喜んではいられません。すぐ後に、住民税と国民健康保険料の請求がドーンと届きます。
前年の収入に対して、住民税や保険料がどのくらいかかるのかを計算して、その金額をとっておきましょう。

 

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所得税

 

フリーランスは源泉徴収義務者です

源泉徴収とは、給与や報酬などの支払いに関わる税金(所得税)を支払者が差し引いて支払い、差し引いた税金を支払者が国に納付する制度のことです。
基本的に日本は納税者自らが納税額を計算して申告する納税方式をとっています。
源泉徴収が発生する報酬の代表的なものは給与所得です。しかし他にもさまざまな仕事で源泉徴収が発生します。
源泉徴収しなければならない人のことを源泉徴収義務者と呼び、法人や個人事業主はこれに該当します。フリーランスは源泉徴収義務者です。

 

抜粋 国税庁HPより 

No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき

[平成28年4月1日現在法令等]

 作家に原稿料を支払うときや大学教授などに講演料を支払うときは、報酬・料金等として所得税及び復興特別所得税を源泉徴収しなければなりません。

1 源泉徴収の対象となる報酬・料金等に含まれるもの、含まれないもの

  1. (1) 謝金、取材費、調査費、車代などの名目で支払をする場合がありますが、これらの実態が原稿料や講演料と同じ場合には、すべて源泉徴収の対象になります。
  2. (2) 旅費や宿泊費などの支払も原則的には報酬・料金等に含まれます。しかし、通常必要な範囲の金額で、報酬・料金等の支払者が直接ホテルや旅行会社等に支払った場合は、報酬・料金等に含めなくてもよいことになっています。
  3. (3) 懸賞応募作品などの入選者に対する賞金や新聞、雑誌などの投稿欄への投稿の謝金などは、原則として原稿料に含まれますが、一人に対して支払う賞金や謝金の金額が、1回5万円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよいことになっています。
  4. (4) 原稿料には、試験問題の出題料や答案の採点料などは含まれません。
  5. (5) 報酬・料金等の額の中に消費税及び地方消費税の額(以下、「消費税等の額」といいます。)が含まれている場合は、原則として、消費税等の額を含めた金額を源泉徴収の対象としますが、請求書等において報酬・料金等の額と消費税等の額が明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません。

 

源泉徴収が発生する仕事

フリーランスの場合は年度ごとに確定申告で所得税を支払いますが、源泉徴収が発生している場合はクライアントを通じてすでに税金を一定額支払っていることとなります。
よってそのまま所得税を支払うと税金を二重(所得税・源泉徴収税)に支払うこととなりますので、源泉徴収税額には注意が必要です。
確定申告の際には源泉徴収税額も記載して、税金の額をきちんと計算しましょう。

そもそも企業は、所得税法で源泉徴収が必要だと定められているフリーのデザイナーやライターなどに報酬・料金などを支払った翌月に、報酬にかかる所得税額および復興特別所得税(100万円以下の場合は10.21%)を税務署に先払いしています。このことを証明するために、支払調書(正式には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)を作成し、税務署およびフリーランスにも提出しているのです。

つまり、支払調書とは、企業がフリーランスに報酬を支払った後、所得税の前払いしたことを証明するために発行する書類のこと。これがないと確定申告で税金を取り戻せないためフリーランスで仕事をしている人が毎年1〜2月に必死になってかき集めるのが支払調書です。

 

所得税額および復興特別所得税の合計税率10.21%が天引きされている

例として

100,000円を請求したら、入金されるのは89,790円

請求額が10万円 の場合
100,000円×10.21%(税率)=10,210円(源泉徴収額)
100,000円-10,210円(源泉徴収額)=89,790円(入金額)

よって、実際に個人に支払われる支払額は、89,790円 となります。(89.79%)
 

ただし、1回の支払いが100万円以下までの請求書が、税額10.21%となります。

源泉徴収すべき額は100万円を超えると変わる

個人から来た請求書が100万円を超えていた場合は税額が変わるので注意しましょう。
支払額=A
100万円までの場合:税額=A×10.21%
100万円超の場合:(A-100万円)×20.42%+102,100円

 

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確定申告で、税金を取り戻しましょう

所得税の最低税率は5%です。しかし、売上金額の10%が源泉徴収されています。
明らかに税金を納めすぎていることになります。さらに、売上から経費や所得控除分を差し引くことができます。
すると、さらに課税対象となる所得金額は小さくなります。
確定申告は、納め過ぎている税金を取り戻す作業でもあるわけです。

 

引用 国税庁HPより 【所得税の速算表】

No.2260 所得税の税率  [平成28年4月1日現在法令等]

所得税の税率は、分離課税に対するものなどを除くと、5%から45%の7段階(平成19年分から平成26年分までは5%から40%の6段階)に区分されています。
課税される所得金額(千円未満の端数金額を切り捨てた後の金額です。)に対する所得税の金額は、次の速算表を使用すると簡単に求められます。

所得税の速算表(平成27年分以降)
  課税される所得金額
税率
  控除額
  195万円以下
5%
  0円
  195万円を超え330万円以下
10%
  97,500円
  330万円を超え695万円以下
20%
  427,500円
  695万円を超え900万円以下
23%
  636,000円
  900万円を超え1,800万円以下
33%
  1,536,000円
  1,800万円を超え4,000万円以下
40%
  2,796,000円
  4,000万円超
45%
  4,796,000円

 

 

(注) 例えば「課税される所得金額」が700万円の場合には、求める税額は次のようになります。
 700万円×0.23-63万6千円=97万4千円

※ 平成25年から平成49年までの各年分の確定申告においては、所得税と復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)を併せて申告・納付することとなります。

 

まとめ

 フリーランスになると所得税、住民税、社会保険料などはすべて自分で手続きして、納税しなくてはなりません。税金の正しい基礎知識を身につけて、節税効果の高い確定申告をしましょう。
 東日本大震災の復興のための税金となっているのが『復興特別所得税』です。現状は、平成49年まで課税される予定となっております。少しでも早い復興を願い、国民が税金を負担していますので、国もそのお金を大切に使って頂きたいと思います。

 

以上です。

最後までお読みくださりありがとうございました。 アンジュールのノマー

 

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